戦争


「・・・で、俺をどうするつもりだ?」
俺は足枷も外され、地面に立った。
「え、別になにもしないわよ?」
女はサラッと答えた。
「おいおい・・・さっき実験がどうとか」
「あぁ、あれは冗談、別にしても構わないなら――」
「いや・・・勘弁しておこう」
そう、と言い女は近くにあった籠に近づいていった。
俺はというと、やることもないのでその場で彼女を見ていた。
「・・・これ、着れるかしら?」
そう言うと彼女はかなり大きめの赤だけのシンプルな服を籠から取り出し、俺に見せた。
「一応これ、一番大きいサイズなんだけど・・・あ、あなたが着てた肌着はボロッボロで着れそうになかったから捨てたわよ」
・・・だろうな、自分で着ていてわかったが所々が穴が空いていたり、切れていたりいただろう。
「まぁ、着てみて、これだけ大きければ着れるでしょ」
そう言いながら彼女は俺に近づき、服を渡してきた。
「後は・・・ごめんなさいね、男の人達に聞いて回ったんだけど、あなたが着れそうなのってこれくらいしかなかったの」
そして彼女は更に褌を出してきた、それも真っ赤な褌だ。
・・・俺は少しばかし彼女の顔を凝視した。
「ま、まぁこれ着たら隠れるし、大丈夫よ!」
彼女は目線を逸らしながら、ジーパンを籠から出してきた。
そして広げて俺に見せてくれた・・・うむ、このぐらいの大きさなら丁度良さそうだ。
「・・・すでに全裸で羞恥心はないが、出来れば後ろを向いていてくれないか?」
・・・少し、褌を着るのを見られるのは恥ずかしかった。
「わかったわ・・・着終わったら声掛けてね」
そう言うと彼女はこの部屋から出ていった。
辺りから音が消え、静まりかえる。
「さて・・・着るか」
俺はまず褌に手を掛けた。
余りこういうものを着ることがないので少し戸惑うが・・・
とりあえず股に掛け、後ろに通し、前で余っている布の下に通し、一週した布にまた通し余った布を適当に巻き付ける。
少し股が空いている気がするから、前に余っている布を少し引っ張ると、いい感じに締まった。
・・・褌はとりあえずこれでいいだろう。
後はズボンを着て・・・服を・・・
・・・服を着て思った。
このTシャツ、もの凄いピチピチになってしまう。
それこそ、筋肉が浮き彫りになる感じだ・・・軽く恥ずかしい。
だが着る物がない今、我慢するしかないな・・・

「・・・終わったぞ」
俺は出入り口の扉に近づき、居るであろう彼女に向かって言葉を発した。
そうすると、扉はゆっくりと開き、彼女が顔を出した。
「あら、意外と早かったのね・・・ってすごい筋肉ねぇ」
彼女はジロジロと服のせいで浮き彫りになっている体の筋肉を見ていた。
「やめてくれ・・・恥ずかしい」
俺は背中を向けた、余り見られるのには慣れていない。
そしてあそこまで自分の体をジロジロ見られることすらない。
というより基本的には相方と居ることが多い、だから女性との交流も殆どない。
・・・まぁ行為自体もしたことはないが
「・・・体に似合わないわね」
彼女はそう言うと人差し指で俺の背中をなぞってきた。
どことなく、舐めるような動きで・・・少しドキドキする
「ま、あなたが気にならないならいいわ・・・それよりお腹空いた?」
そう言うと彼女は手を離し、俺の前まで来て自分の顔を見てきた。
・・・確かに腹は減っている、だがここは敵の中心地だぞ?こんな所で・・・
――――グウウウゥゥ・・・
「・・・すまない、何か食べさせてくれないか?」
「いいわよ♪私の料理でいいなら、ね」
彼女は少しニコッとし、腰に腕を組んでいた。
・・・どうしてだろう、さっきからどうも落ち着かない。
「さっ、着いてきて!」
そう言うと彼女は出口に行き、どこかに向かって歩き出した。
・・・まぁいいか、一時的な興奮だろう。
俺はそれで心を収め、彼女の後ろを着いていった・・・


戻る