戦争


俺は森を抜け、やっとさっきまでの戦場に戻って来たが・・・
「・・・どうなってんだ、人っ子一人いねぇじゃねぇか」
あるのは俺を雇っている軍の兵士の死体位だ、敵の軍の死体は見あたらない。
「消えた・・・?まさかな」
まぁ、都合はいい、これで邪魔されずに敵の本拠地に入り込める。
後は・・・あのガキだ、確か進んでいった方向はこっちで合ってるはずだが・・・
「・・・お兄ちゃん!」
そうかけ声を掛けられ、声がした方を向くとあの少年がいた。
そして、抱きついてきた。
「よかった、生きてて、よかった・・・」
そう言いながら少年は大粒の涙をこぼしていた。
「・・・そう簡単に殺すな、ったく」
俺は少年の頭を撫でてやった、なんというか・・・少し可愛かった。
「うぅ・・・」
「もう泣くな、泣く暇があるならさっさと行くぞ」
俺はそういうと少年を離した。
正直余りゆっくりはしていられない、相方の方も気になる。
「は、はい・・・」
少年は自分の服で顔を拭き、俺の横についた。
「走るぞ、いいな?」
俺は少年の方に顔を向け、そう言った。
「・・・はい!」
「行くぞ!」
そう言うと俺は本拠地に向かって走り出した、まぁあのガキが着いてこれる位の早さだが
・・・それより相方が気になる
確か戦場、この場に居たはずだが・・・居ないところを見るともうすでに本拠地にいってるはずだ。
どれだけ敵がいるかわからない、さっさと俺も向かわねぇとな!
そう思うと俺は少し早さを増して走った。

「・・・ここだな、敵の本拠地ってのは」
俺はでかい建物の前に止まった、おおよそ、ここが本拠地だろう。
だが、不自然だ・・・兵が一人もいない。
「はぁっはぁっ・・・ふぅ・・・」
そう考えていたら少年が息を切らして駆け寄ってきた。
「は、早すぎです・・・」
「言っただろ?さっさといくぞって・・・まぁいい、お前、入り口わかるか?」
俺は建物を指さしながら少年に言った。
「入り口ですか・・・?」
少年は未だ息を切らしながら建物とは違う方向を指さした。
「・・・その建物はダミーですよ、実際はこっちです」
少年が指さした方向を見ると、山があった、特に気になる点はないが・・・
「でも・・・僕ならまだしも、お兄ちゃん見つかったら・・・そうだ」
そう呟きながらなにかを閃いたのか、すぐ近くにあった一本の木に近づいていった。
俺も着いていく。
「・・・あれ、もう剥がれちゃってる」
よく見なくても、木の皮の一部が剥がれ落ちていた。
そしてそこにはレバーが付いていた。
「おかしいなぁ・・・まだ使ったことないのに」
・・・なぜだろう、おおよそ予想はついた。
 
    多分、俺の相方だ。
 
「まぁでも、レバーは戻ってますから・・・行けますね」
そういうと彼はゆっくりとレバーを下に引いた、そして思い切り上に上げた。
   ――――ガガガガガッ!
そう音を立てながら地面から現れたのは階段だった。
「おおっと・・・この階段は?」
俺は少し驚きながらも少年の方に顔を向けた。
「この階段は裏口に繋がってる・・・はずです」
「はずって・・・わからないのか?」
少年はこちらに顔を向けた。
「・・・実を言うと、使ったことないんです、この裏口通路」
耳をシュン、とさせ、俺の顔を見てきた。
「・・・とりあえず、行くしかないだろう」
俺はすぐに顔を逸らすとリボルバーに弾を込め、ホルダーに入れた。
この先に相方が居ればいいが・・・あいつの事だ、生きているだろう。
「案内、頼めるか?」
俺は少年に問いかけた。
「あ、はい!」
そうすると少年は声を上げ、階段に近づいていった。
  ・・・・・・ま、どうにかなるだろう。
そう思うと俺も少年に着いていった。
        ・・・さっさと蹴りつけねぇとな


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