戦争


   ――――バシャン!
突如、顔にかかる冷たい物・・・水、だろうな。
だが、どうしてだ?
 ――俺はあそこで死んだんじゃ・・・?
 
未だ脱力感が抜けないが、俺はゆっくりと瞼を開けていった。
「あら、やっと起きたのね」
・・・女か?
俺の目の前には背丈170cmぐらいの竜人が立っていた、自分とは違う種族だ。
「ここは・・・?」
俺は足を動かそうとした・・・が
半歩踏み出そうとしたらガシャン、と音がした。
どうやら全身裸で両手、両足共に壁に拘束されているようだ。
「ん、ここはねぇ・・・いわゆる拷問部屋って所よ」
そういうと彼女は出口らしき物の横にあるスイッチを押した・・・電気がつき、俺は周りにある物を見て少し愕然とした。
・・・周り一体にはありとあらゆる拷問道具が存在していた。
自分がわかるだけなら・・・鉄の処女、至る所に刺がついている鉄鞭、電気椅子、ロバ辺りだろうか・・・
だが、何故か血錆びの後すらついていない、見た目だけなら不使用品にしか見えないが・・・
「・・・って言っても、使われたことはないんだけどね」
彼女がそう言いながら戻ってくると、近くにあった普通の椅子を俺の前に置き、その椅子の上に立ち上がり、俺と目線を合わせてきた。
・・・よく見ると、かわいいかもしれない
「あなた、どうしてここに居るかわかる?」
そう言うと彼女は右手で優しく俺の顎を撫でてきた。
「・・・あなた倒れてたのよ?私たちの基地の罠の中で、ね」
・・・俺は少しだけ思い出した。
そして、今更ながら
・・・・・・敵に捕まったことを知る。
「で、まぁ本来ならその場で殺すのが普通なんだけど・・・実験材料が欲しくなっちゃってね」
「じ、実験だと?!」
俺は驚き、すぐさま逃げようとしたが・・・案の定、拘束具が固く、どう足掻いたとしてもビクともしなかった。
そんな俺を後目に左手で俺の腹筋を触りだした・・・こいつ本気で・・・?!
「・・・いい筋肉ねぇ、よほど鍛えてるのね」
細い指で筋肉と筋肉の溝を沿っていく・・・そして、徐々に俺のスリットの部分に近づいて・・・
「・・・まぁこれくらいでやめておこうかしら」
そう言うと彼女は手を離し、俺の右手の手枷になっている部分に手を伸ばした。
「んしょ、んしょっと」
不意に彼女の髪がマズルの鼻先に近づいた・・・いい匂いだ。
・・・そうしているとガシャン、と音を立て、右手からの圧迫が消えた。
「・・・いいのか?」
「え、なにが?」
彼女は俺に向かって首を傾げ、見てきた。
「いやだな・・・一応俺は捕虜だろう?」
「えぇ、一応ね、でもあなたは危害を加えそうにないし、別にいいわ」
そう言うと次は左手の手枷も外し始めた。
「あ、あと、実験材料はあっちよ、余り見たこと無い武器ばっかりで少し興味が、ね」
顔をあっちの方に向けると、自分の重甲、そして多々ある重火器が並べられていた。
そう言い終わった瞬間、左手の手枷も外れた。
俺は取りあえず上に延ばし、手首を動かし軽くほぐす。
どうもガチガチになってしまっている。
「後は足っと・・・ととっ!」
彼女が椅子から降りようとした瞬間、足を滑らし・・・
  ―――ガンッ!
・・・綺麗に俺の股間にクリーンヒットした・・・
「あたた・・・あ・・・」
俺は消えていきそうな意識をどうにか消させないようにしながら彼女を地面に立たせた。
「その・・・ごめんなさいね」
そう言うと彼女は次の足枷を取り外していった。
俺は・・・当分動けそうになかった・・・


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