戦争

「・・・ここか」
俺はとあるでかい建物の外壁に居た。
まぁ言わなくてもだが、敵の本拠地だ・・・一切の物音さえ聞こえないが
周りを見回したが・・・一本の木が近くにある以外で後は平地が続くだけであった。
「本当にここに対象の人物いるのか・・・」
俺はとりあえず、入り口を探した。
建物の壁自体を壊してしまってもいいが・・・出来るだけ静かに行きたい。
「しかしでかいな・・・入り口がどこにあるんだか」
とりあえず外壁を伝って歩いているが
どうも入り口が見つからない・・・
「いい加減回りきったと思うが・・・」
俺はまたその場で周り確認した・・・そうするとさっき見た木が寂しげに立っていた。
         ――――答えはでた。
この建物、入り口という物が存在していない。
だが、だとしたらこの建物に入るにはどうすれば・・・
俺は胡座をかいて座り込み、考え出した。
今ある情報は・・・
この平地になにのセキュリティも無しに立っているこの建物。
そして入り口がない。
周りにあるものとしたら一本の木だけ・・・一本の木・・・・・
・・・・・・・・・あまりにも不自然過ぎないか?
俺は咄嗟にそう思うと立ち上がり、木に向かった。
そしてその木を観察してみた。
「う〜ん・・・!!」
上から見ていたら・・・少し木の皮が取れかけていた部分があった。
俺はその皮をゆっくりと引き裂いていった。
「・・・当たりだな」
引き裂いた所を見たらレバーが合った。
俺は迷わずそのレバーを下に引いた・・・
      ――――ガタッ、ガタタタ!
いきなり俺の目の前にある地面が震え出したと思ったら、平地の中から階段らしき物が現れた。
「なるほど・・・上はダミーか」
よく出来ている・・・と関心しながら俺はガトリングガンを両手で構え、階段を下りていった。

中は・・・小さい電球が一定の距離感で吊らされており、周りは鉄製の壁で覆われているせいか、異様に蒸していて暑い。
その環境で重甲を着ているんだ、はっきり言って汗の量がおかしい。
・・・肌着、帰ったら捨てるしかなさそうだ。
俺はそんなことを思いながらも前方に注意しながら進んでいった。
    ―――歩いて30分
まだ出口らしきものは見えなかった。
「はぁ・・・はぁ・・・水・・・」
さすがに大量の汗をかき、脱水症状になりそうだった。
俺は一度ガトリングガンを地面に置き、腰に携帯している水袋を取り出した。
殆ど飲んでないんだ、まだかなりの量が残っているはずだった。
俺は栓を開けてすぐ口を付け、一気飲みの要領で流しこんだ。
だが・・・大量にあると思っていた水が、見事な事に全てお湯・・・いや熱湯になっていた。
「ぶっ・・・ゴホッゴホッ・・・」
俺はすぐに吐き出した、こんなもの、飲めない。
・・・気のせいじゃないだろうが、目の前がふらふらする。
だがここは敵のど真ん中だ・・・倒れる訳にはいかない。
俺はすぐさまガトリングガンを元の様に構え、ただ一直線に前を見ていた。
・・・こうでもしていないとすぐにでも倒れそうだ。

    ―――更に30分後
「ふぅ・・・ふぅ・・・」
・・・いい加減出口見えても・・・
もう・・・限界だぞ・・・
・・・すでに俺の体から汗は出ていなかった。
確実に脱水症状は出ている・・・もう立つことすら厳しい。

―――ガタンッ
・・・自分が持っていたガトリングガンが足下に落ちた。
それと同時に、俺の体も地面に落ちていった・・・
「・・・・・・死ぬのか・・・?」
俺は遠のいて行く意識の中、そう呟いた。
誰も聞いちゃいねぇのにな・・・
         ・・・・・・誰か・・・助けてくれよ・・・


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