戦争

「おらよっ!」
銃声が響き渡ると共に相手が倒れる。
これでやっと4人って所か・・・守りながらじゃ自由に動けねぇな。
「さっさと進みてぇんだがな・・・」
まだ敵は5、6人は居る、全員木の陰に隠れている。
なにもない所ならすぐさま頭を打ち抜くが、弾も限られ、弾は余り外したくなかった。
出来るのならこの戦闘自体、避けたかった。
というよりこのガキがいなけりゃ強引に進むんだがなぁ・・・ったく
俺はそう思いながら敵がいない方向の木に銃口を向けた。
「とっとと終わらせたいんでねぇ・・・!」
そう言った刹那、俺は木に銃弾を放ち
そしてそれと共に俺は敵がいるであろう場所に走り出した。
・・・案の定、敵がそこに集まっていた、作戦でも考えていたのだろう。
「なっなにぃ!」
即座に武器を手に持ち直しているが・・・
「遅いっ!」
俺は奴らが武器を持ち上げる前に全ての敵の頭に銃弾をぶち込んだ。
・・・凄い量の血しぶきが俺に降りかかる・・・生暖かい。
「う・・・うわ・・わ・・・」
不意に俺の後ろから声がした・・・まぁ振り返らなくてもわかるが
振り返るとあのガキがいた。
顔には涙を浮かべ、ついでに・・・漏らしていた。
「・・・くっせぇな・・・漏らすなよ」
そういいながら俺は近づいた。
だが近づけば近づくほど涙は溢れ、顔が恐怖に歪んでいった・・・
「やめ・・やめ・・・殺さ・・なな・・・」
・・・確実に錯乱してやがる、めんどくさい。
俺はリボルバーを地面に置くと、軽く顔にかかっている血を手で拭き
「・・・殺すならてめぇはもう死んでる」
そう言いながら右手をガキの頭に置いた。
「・・・え?」
「だから、殺すならてめぇと関わった瞬間に殺してた・・・わかったらもう泣くな」
俺はそう言うとガキの頭をわしゃわしゃした。
・・・がっさがさだ、まるで何日、いや何十日も洗ってないんじゃないかって位に。
「・・・う・・ん・・・」
「ったくよぉ、漏らすなよ、くっせぇなぁ」
俺は右手を離し、青年に背中を向けた。
「おい、ついてこい・・・確かこの近くに湖か池があるはずだ」
「えっ・・・?」
俺は地面に置いておいたリボルバーを拾いながら答えた。
「そんなしょんべんまみれの体でいいのか?」
「えあ・・・洗わないとですね」
そう言いながら犬獣人は涙を拭きながらゆっくりと立ち上がった。
・・・ズボンの端から黄色い液体がポタポタと落ちている。
「はぁ・・・さっさと行くぞ」
俺はそう言うと歩きだした。
ある程度の場所ならわかる、地図は見てきた。


「・・・っと、ついたな」
森を歩いて少したった頃、俺の目の前に少し汚いが、体くらいは洗える池があった。
「さっさと入って洗え、時間ねぇんだからよ」
「は、はい!」
そう言うと犬獣人は衣服を全て脱ぎ、池にゆっくり入っていった。
足からゆっくり入っていくと共に尻尾が軽く震えていた。
「うぅ・・・少し冷たいなぁ・・・」
「・・・ついでにこれも洗っとけ」
俺はそういうとズボンとパンツの濡れていない所をつまみ、犬獣人がいる所に投げ込んだ。
「わわっ・・・はい」
犬獣人はその二つの衣類を受け取ると肩まで沈み、池の中でばしゃばしゃと洗い出した。
俺はその様子を近くにあった小岩に座って見ていた。
「本当・・・ガキだなぁ」
ガキ・・・本当にこんなのが傭兵なぁ。
銃もろく扱えない、へたれ、そして血を見ただけで漏らす所を見ると全然向いていない。
というより訓練を受けていない民兵並に酷い。
・・・こいつ本当に傭兵なのか?
「はぁ・・・気持ちいい♪」
そうつぶやきながら少し離れた所で泳いでいた。
ったく、急いでるってのに・・・
・・・でも似てるよなぁ・・・種族は違うが、昔の自分に。
だからか、少し親近感が沸く、まぁこんなにへたれじゃなかったが
・・・まぁ、こういう時間もたまにはいいだろう。
俺はそう思い、少年を見ていた。


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