戦争



「さて・・・ここが階段で行ける最上階みたいだが」
俺の前にはすでに階段は無く、一つの扉が立ち塞がっているだけだった。
「奴らがまだ無事だったらいいが・・・」
そう、言葉を漏らしながら俺は扉を開いた。
 
             ――ガチャ・・・
 
扉を開けると、そこには俺に銃口を向けた兵達がいた。
「・・・総員射撃始めっ!!」
           「糞共が・・・リフレクションファイア!!」
奴らが俺に銃弾をふきかけると同時に俺は地面に数発銃弾を撃ち込み、扉を急いで閉めて隠れた。

「ぎゃっ!」
    「た、弾が襲って・・・ぐふっ!」
「奴わざと反射を・・・?!」
           ――バチュッ・・・

これで、全滅だな。
俺は扉を開くと生きている奴が居ないか見回したが・・・全員、死んでいる。
・・・総隊長だと思われる奴の首に何か掛かっていた・・・ロケットネックレスの様だ、中を開いたらこいつの家族みたいな奴らの写真がある。
「逃げてりゃまだいい人生を迎えられたかも知れねぇのになぁ・・・」
 
・・・ざまぁねぇよ
 
「・・・さて、さっさと向かうか」
俺は兵士の銃の中の弾を引き抜き、自分の銃のマガジンに入れた。
ありがたく使わせて貰う。
 
 
「で・・・次のトラップはなんだ?」
俺は少年に言った。
だが、少年も
「この部屋は僕もよく・・・実際ここまで来たのすら初めてなんで・・・」
俯いて申し訳ないような表情で俺を見てきた。
「・・・なら、一から解くしかないな・・・まずは」
俺は周りを見渡した・・・一面、真っ白な壁だけだ、先ほどの扉も何故か消えている。

・・・少し、気が狂いそうな部屋だな。

「まぁ、これがトラップならどこかにタネがあるはずだ、探すぞ」
俺は少年に左の方の壁を調べさせた、俺は右だ。
まずはベタな所から探す、ここまで情報もなにもない状況なら虱潰しの容量で行った方が確実だろう。
 
 
・・・・・・なさそう、だな。
 
両者とも、半周して俺が左、少年が右の位置に立っていた。
「壁にはなにも・・・なさそうですね」
少年がため息をつきながら言う。
「そうだな・・・ならば次は床、だな」
俺は隅の方から両手でベタベタと触れていく。
少年は俺と正反対の方向から・・・真ん中で落ち合ってなければ、およそ今の俺にはどうすることも出来ないだろう。
そうなると、答えは天井にある・・・銃すらない俺たちに勝機はない。
相棒が早く来てくれればいいが、それまでに俺たちが出来ることをやらねば。
 
 
「さて、ここだろうな、ボスの部屋は」
走って着いた先、俺の前に
 
バカみたいに大きく、そして重厚感満載の扉が現れた。
 
「キーも外されてるな・・・これなら楽勝だ―」
  
         ――ズドドドドドドドド!!!
 
「おわっ!!・・・なんなんだ一体!」
俺は再度扉の中を覗き込む。
すると、かなりの数の銃器が俺に照準を合わせたままぴくりとも動いていない。
 
「・・・ようは、あれか、全部壊せって事かよ相棒ッッッ!!」
俺はそう叫ぶと銃達の反応速度よりも早く、銃弾を銃を支えている幹の部分に撃ち込んでいった。
だが、前に居る奴らは的確に俺の足を狙って来た。
「くっそっがぁぁぁぁぁぁ!!」
俺は体を捻り、めり込むように前に飛び込んだ。
そして俺に銃弾の雨が降る前に、全ての銃の幹に当てた。
 
そして俺は地面に叩きつけられる形で空中から落ちた。
 
「・・・ってぇなぁ、糞が・・・」
だが、まぁこれで次に進める。
 
俺は前に進み、扉を開けた。
すると、真っ白な部屋に、二つの何かが地べたを這いずり回っているのが見えた・・・
恐らくは相棒と少年だろう・・・だが、全身を地面に巻き込まれて、真っ白だ。
・・・俺は勝手に閉まろうとする扉を思いっきり蹴り開けた。
 
そして上の方で蠢いている虫の様な何かに銃弾を浴びせた。
 
すると白かった部屋は綺麗さっぱり普通の部屋に戻った。
「また妖術的ななにかか・・・めんどくせぇなぁ」
とりあえず俺は地面に倒れている相棒を蹴り起こした。
「・・・はっ、俺は・・・お前が助けてくれたのか」
相棒は起きるとすぐに俺の顔を見てきた。
「すまない、まさか・・・・・・」
と言いかけるところで言葉が詰まってしまったようだ。
「過ぎたことはどうでもいい、さっさと行くぞ」
俺はそう言うと少年を軽く頭を叩き、起こした。
「ふぎゃ・・・あっ、おはよーございま・・・ってここは?」
「てめぇもてめぇで・・・まぁいい、さっさと行くぞ」
俺はそう言い放つと次の扉に手を掛けた・・・軽く殺気が感じられる、およそ、次で最後だろう。
まぁ、いつも通りで行けばいいが・・・
俺はそう思いながら、扉を開いた。

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