戦争



「こっち、こっちです!」
僕は走りながら竜人の人に言い放つ。
「後・・・どれくらいで着く?」
僕は軽く考えながら答えた。
「後・・・後は・・・・・・」
そう言いかけながら僕は角を曲がった。
そして目の前には
 
バカみたいに大きく、そして重厚感満載の扉が現れた。
 
「・・・ここです、ここが司令官がいる部屋の前の前の扉です・・・先にまだあります」
・・・この先にはトラップがある、この人にそれが見抜けるかどう――
 
「・・・これくらいなら抜けれるな」
 
・・・え?
「少年、銃はあるか?」
「・・・・・・えっ、あ、はい!」
僕は少しぼーっとしていた、これだけ厚い扉の前で殆ど考え込まずに回答を出した事に驚いたからだ。
そして一丁しかない銃を取りだし、竜人の人に渡す。
「でも、どうやって・・・」
僕がそう言うと竜人の人は
「まぁ、見ていろ・・・答えはすぐに出る」
そう言った。
「とりあえず・・・この扉だな・・・」
罠がないか、チェックをしているようだ・・・実際この扉の前にはトラップはない。
あるのは・・・
「む、そこか」
そう言いながら彼は扉に近づき、一点の場所を片手で軽く叩いた。
そうするとそこから暗証番号を入力する機器が浮かび上がるように出てきた。
「・・・どうしてそこがわかったんです?」
僕は不思議に思った、ただでさえ扉は継ぎ目すらない綺麗な真っ平らだ、なのにどうして
「少し機械が動いている音がしてたからな、それにこれだけ分厚い扉だ、武具でどうにか出来るレベルじゃないのを見ると大体がこうだ」
「き、機械音って・・・」
僕には一切、無音に思えた・・・なのにこの人はその僅かな音すら聞き逃さなかったのか。
「・・・でだ、暗証番号は知っているか?」
少し間を開けて彼が訪ねてくる。
「あ、一応・・・」
僕はポケットから紙切れを取りだし、彼に渡した。
「よし・・・・・・・・これでいいはずだ」
最後の一桁を打ち込んですぐに目の前の分厚い扉は横にスライドする形で壁に消えていった。
だが、また目の前には
 
数十、いや数百の銃器が僕達に照準を絞っていた。
 
撃ってくる気配はないけど、このまま先に進むと多分蜂の巣になってしまう。
ここの解決法は・・・本来はカードキーが必要だ、それを認証させると銃器達はそれぞれ顔を隠していく。
だがここで通せるカードキーを持っているのなんて数が限られている上に・・・きっと、司令官の所に全て集まっているだろう。
それを考えると・・・僕は少しぞくっとした。
「ふむ、カードキーが必要か・・・」
そういいながら彼は銃器のそばの足下を見ていた。
銃器を支える棒とその棒を出している一切隙間がない穴くらいしか見あたらないが・・・
「チャフか、道具があればカードキーなんて要らないのだが・・・」
彼は少し考え始めた・・・さすがに無理だろう、ここをカードキー無しで通り抜けるなんて・・・
「・・・少年、ここのトラップは熱、硝煙に反応を示すか?」
彼は考える事を止めて、僕に問いかけてきた。
「はい、熱も硝煙も物さえも感知して銃弾を浴びせてきますけど・・・」
そう言うと彼は少しニヤッとした。
 
「なら・・・いけるぞ、このトラップ」
 
そう言うと彼は僕を突然担いだ。
「え、な、なにを?!」
僕が慌てて言っていたら彼はすでに銃を構えていた。
「これから走る、お前を置いては行けないだろう?」
「で、でもどうやって?!ここを走り抜けるのは無理ですよ!!」
「まぁ・・・見ていろ」
そう言うと彼は走り出した、そしてその瞬間と同時に
 
二発、弾を自分達が走っている斜め前に発射し、そして銃を自分達の真上に放り投げた。
 
すると銃弾は先に入ってきた銃弾二発を狙った、僕達は走り続ける。
そしてまるで銃弾のカーテンの如く銃弾達は俺たちの上を通って硝煙が漂う銃に・・・
そして・・・
 
僕は気付くとすでに次の扉の中に入っていた。
 
「・・・ふぅ、どうにか行けたようだな。」
「・・・・・う、うそでしょ・・・」
僕はまたぽかーんと拍子抜けた顔をして呟いた。
ありえない、あんな抜け方・・・一つ間違えば今頃蜂の巣だ。
熱にも反応するってことは僕達の方が熱源としては高いはず・・・発射された弾はともかく
「・・・どうして銃にまで銃弾が・・・」
そうぼそっと呟くと彼は息を上げながら答えた。
「あぁ・・・あれは上に投げる時に一発撃ち込んですぐに上に投げた・・・じゃなければ俺たちは今頃銃弾だらけの体になっていただろうな」
・・・もう、ありえないを通り越して・・・涙が出てきそうだった。
でも・・・あそこを越せたならいけるかも・・・この人なら・・・この先に。
 
「あ〜・・・兵士がうざってぇなぁおい!」
俺は迫り来る兵共から逃げながら叫んだ。
気のせいかさっきから同じ所をグルグル回っているような感じだが・・・
「どこか階段・・・あそこか!」
走っていると左手に階段が見えた、すぐに軌道修正して階段を駆け上る。
だが相も変わらず兵共は俺を追いかけて・・・
「くっそが!・・・そうだ」
俺はある事を思いついた・・・この階段自体を途中で壊してしまえばいいんじゃないだろうかと
となると実行だ、俺は出来るだけ距離を稼ぐ為に全速力で走った、足が吊りそうな気もするが
そうすると奴らからの差が1階段分になった時、俺は振り向き、すぐさま照準を階段のつなぎ目に向けた。
「兵共、落ちてしまえ!!」
そう言い放つと俺は灼熱弾を思い切りぶち込んだ。
そうするとただの鉄の繋ぎ目は溶けてなくなり支えがなくなった所の階段は飛び乗るのも危ない状態になった。
「っち・・・他のルートで奴を追うぞ!!」
そう班長が言い放つと、兵共は綺麗さっぱり居なくなった。
「よし・・・これである程度楽だな。」
俺はそう呟くとすぐに奴らが来る前に階段で更に上へとあがっていった。

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