戦争



「・・・僕、実は――」
           ――ガチャ、ガチャ・・・ガチャン
「あら、今度は二人ねぇ・・・ネズミちゃん?」
少年が言葉を放とうとした瞬間、扉が開き、竜人の女が出てきた。
俺は即座にホルダーから銃を取り――
「・・・遅いわよ?」
そう言った瞬間彼女はすでに銃口をこちらに向けていた。
「させないっ!」
少年はその場から少し走り、前のめりになる形で女に飛びついた。
「きゃっ!」
                 ――バンッ!!
女は見事に体勢を崩し、倒れる反動で銃のトリガーを引いて天井に射撃した。
・・・助かった、これで
「形勢逆転だ――」
          ――ッッッバン!!
突如女を中心に眩しい光が爆発するかの如く飛び散り、煙が当たり一面に拡がる。
「なっ・・・くぅっ・・・くそっどこだ!」
さすがに反応しきれず、軽く眼に残ってしまった・・・この状態で狙われたら確実に殺られる。
「わわっ・・・なんにも見えない・・・」
ガキの声が左側からした・・・俺はとりあえずその方向に飛び退き、ガキであろう物体を片手で持ち上げた。
・・・体重の軽さ、大きさからみて間違いないな、よし
俺はとりあえず机の下に逃げ込んだ、だが見つかるのも時間の問題だろう。
「ったく・・・でもどうする、このままじゃ・・・」
「・・・おい」
俺は身の毛が思いっきり逆立った、そして即座に銃を・・・
「俺だ、銃を向けるな」
・・・よく見たら俺の相棒だった、俺は銃口は外し、構えたままで
「どうしてお前がこんな所に・・・しかもその服は」
「それ以上言うな・・・俺も捕まえられた身だ、武器も全て奪われた」
そう言いながら相棒は周りをしゃがんだまま見ると俺に手を延ばし
「とりあえず、ここから逃げるぞ」
「おう・・・」
俺が手を延ばそうとした瞬間に
銃声が鳴り響き、その弾丸は俺の頬を掠め、壁にめり込んだ。
「なっ・・・くそっ!」
俺は振り向くまもなくガキを相棒に投げ渡しながら、机の下から転がり出た。
そして机の真向かいにいると思われる女に向かって銃口を向けた。
「・・・あなた、あの部屋に居てって言ったでしょ?たくもう・・・」
女は軽く机の下を見ながら言葉を放った。
そしてそこから俺を見て
「あなたも、怪我したくないならその銃をこの机に置いて、手を出しなさい?」
女は銃を構える様子も見せずに俺に言う・・・
「てめぇ・・・殺すぞ?」
俺は銃を構え、女を睨みながら言った。
「あら、あたしがあなたみたいな熊さんにやられる程弱いと思ってるのかしら?」
女は軽く笑みを浮かべながら俺に放った・・・この糞女・・・
俺は試しに一発、彼女の頬を掠めるように撃った。
「おっと・・・」
・・・俺は眼を疑った。
女は構えてすらなかったはずなのに俺が放った銃弾は同じ鉛玉に当たり、机に鉄くずとなり落ちた。
「私、これでも早打ち得意なのよ?精度も上々でね・・・」
そう言いながら女は右手に銃を掛けて自慢げに話した。
簡単にいってるが・・・相撃ちなんてそうそう出来ることじゃねぇぞ・・・しかもこんな至近距離で
「・・・なぁ、相棒・・・ぜってぇそこから離れるな」
俺は小さな声で相棒に呟いた。
相棒はそれを聞くと少年を抱きしめ、何が起こるかわかるのか、頷き、自らも軽く丸まる。
「・・・ってことで、怪我したくないなら早く――」
           ――バンッ!!
俺は女が言い終わるよりも早くに女の胸元に銃撃した。
「・・・卑怯ねぇ、いきなり狙ってくるなんて」
女は自分が発射するよりも早くに動き、綺麗に銃弾を避けた。
卑怯・・・だが構っていられる程弱い相手ではない。
だが・・・俺にも礼儀ってもんがある、強い相手に対して、だ
 
           ――Are you Ready?
 
「・・・死んでも、知らないわよ?・・・っもう」
 
              『・・・GO!!』
 
                〜机の下〜 
そう両者が言い放った瞬間、弾丸がもの凄い勢いで発射されるような音が聞こえた。
ライフルとはまた違う・・・荒々しくもあるがどこか精密さも含んでいるような銃音
「・・・これは」
・・・銃技「デスペラード」・・・名前とどういう銃技なのかだけは聞いた事がある。
だがそうそう扱える奴は居ない。
簡単に言えば「精密な乱射」と言ったところだろうか、だが撃ち方が少し独特で、乱射・・・だがその威力、スピード、撃ち込む速度はどの撃ち方にも勝る。
そして、その銃音は――
            
              ――俺の相棒の方で、した。
 
・・・奴そんな技いつの間に出来るようになっていたんだ・・・
・・・だが、彼女の方もなかなか強そうだ、未だ血痕の一つすら見えていない。
「これは・・・互角か?」
「どっちかと言うとあの女の人の方が上手みたいですね」
突然俺の胸の中から犬獣人の子供がむくっと顔を出し、彼女がいるであろう方を向いて話した・・・って言ってもこの机から少しでも出ようものなら蜂の巣になるだろう
「どうしてだ?俺には避けてばっかりで攻撃が出来ていないように・・・」
「いや、よく見てください・・・お兄ちゃん」
そういわれ俺は相棒が居る方向を見て、相棒を見ると・・・

                〜戦場〜
「・・・てめぇに良いもの見せてやるよ・・・」
俺はそういうと銃口を突きつけると一度目を閉じ、そして開くと共に
            「・・・デスペラード!!」
そう言い放った瞬間目を見開き、凄まじい勢いで弾を「乱射」した。
「きゃっ・・・な、なんなのよそれっ!」
女はその弾速を見て、素早く机の下に隠れた。
「おいおい・・・止まってたらいい的だぞ?」
俺は即座に女が隠れた机に弾の雨を降らせた。
机は一瞬で粉々になり、隠れていた彼女が露わになった。
「ん・・・!っもう、なんなのよ!!」
そう言うと彼女は俺と正面に立ち、やっと銃をまともに構えた。
「あなたがその気なら・・・いいわ、やってやろうじゃない!」
カチャリ、と音を立てながら銃口と鋭い眼光をこちらに向けた。
俺もそれに合わせて銃口を向ける。
「てめぇに勝機はねぇよ・・・デスペラードに適う奴なんざいねぇんだよ」
俺がそう脅しに掛かると女は・・・笑っていた。
「ふふっ・・・ふふふ・・・勝機ねぇ・・・」
「・・・いいわ、かかってらっしゃい・・・一発でも私に銃弾を当てれたら私の負けでいい」
「・・・その減らず口に撃ち込んでやるよ・・・行くぞ!」

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