戦争



「・・・ここだな」
緊急通路とはいってもただの一本道が続いているだけだった、監視カメラも見あたらなかった。
今俺の目の前にあるのは自分が手に持っている二丁の拳銃、そして食堂に続く扉のみだ。
「おい、開けてくれ」
俺は少年に顎で扉を示した、もし俺が構えずに扉を開けた瞬間に敵がいたらどうしようもないからだ
「あっ、はい・・・っと」
それに気付き、少年は扉をゆっくりと開けていった
俺は扉の先に敵がいるか確認をする・・・どうやら留守みたいだ。
扉の先には電気が消されており、一応見回せれるが
「・・・行くぞ、付いてこい」
そう言うと俺はとりあえず拳銃をホルダーに戻し、食堂に入り周りを見渡し、スイッチらしき物を見つけ、押した。
そうすると電気がつき、周りが見渡せれるようになった。
丁度良い事に、誰も居ない・・・何故だろうか、もの凄い違和感を感じる。
・・・まぁ、敵が居ない事はこっちにも好都合だが
「あ、はい〜」
少年はそう言うと俺の後ろをしっかりとついてきた。
そしてそのまま俺は扉に近づいた・・・鍵は閉まっているようだが、こちらから開けれそうだ。
ならこのまま・・・
            ガチャ・・・ガ
                 ――ピー!ピー!!侵入者発見!場所は――
後ろからけたたましくアラームが鳴り響く、振り向くと天井に小さなカメラがある事に気付いた。
「なっ・・・しまった」
俺は素早くホルダーから拳銃を取りだし、カメラに銃口を向け、放った。
                
               ――ピー!ピ・・・ギギッ、ギギッ・・・

・・・なんとかアラームは止めれたが、これで確実に居場所がばれただろう。
「さっさと逃げるぞ!」
俺はすぐにこの場所から逃げようと扉を開けようとしたが・・・今のでオートロックが掛かったせいか、ビクともしない。
「くっそ・・・こうなりゃやけだ!」
「・・・無駄ですよ、その扉は完全防弾構造で出来てます・・・撃ったら跳弾しちゃいますよ」
俺の後ろで少年が呟いた、俺はそれを聞くと動きを止め、少年を見た。
「・・・なんでお前はそこまでこの基地に詳しい?ただの傭兵だろう?」
俺はホルダーに拳銃を戻しながら少年の方を向き、言った。
「そ、それは・・・」
「それに、ただの傭兵が最高機密の秘密通路を何故知っている?・・・答えろ」
そう睨みながら言うと、少年はたじたじとしながら目を逸らした。
「・・・あなたには言ってもいいのかも知れないですね・・・僕、実は―――」
 
同時刻、竜人達。  
「ほら、出来たわよ・・・っと」
テーブルの上にどんどん料理が置かれていく・・・どれもこれも美味そうだ。
「ま、あなたならこれくらい食べれるでしょ?」
そういいながらテーブルを埋め尽くす位の料理が出てくる。
・・・正直、食べきれるが太ってしまいそうだ。
「・・・さ、どうぞ召し上がれ♪」
彼女は自分と顔を合わせる位置に座り、俺を見ている。
俺はとりあえずフォークを持ち、近くにある料理に手をつけてみた・・・これはミートローフか?熱々のソースが掛かっている。
俺はそれを切らずに一口で一つ、口に入れた・・・
「・・・美味い、中には卵が入ってるんだな・・・これは」
俺は次々に料理を口に収めていった、殆ど無意識に
「・・・ふふっ」
彼女はその姿を見て微笑んでいた。
俺はその笑顔が・・・好
                 ――ピー!ピー!!侵入者発見!場所は1F食堂――
「あら・・・またお客さんかしら」
そういいながら彼女はベッドに行き、敷き布団の下をめくった。
・・・軽く見えたが、敷き布団の下にはかなりの数の重火器、拳銃、そして弾が整頓されて置いてあるのが見えた。
「本当、今日は多いわねぇ・・・あ、あなたはそこで食べてていいわよ、すぐ終わらせるから!」
そういいながら彼女はベッドの中から拳銃を二丁、そしてホルダーを取り出して腰に装着した。
さすがに準備は早い、かなり手慣れている。
・・・彼女がこの部屋をでたら自分も少し重火器を――
「よいしょっと、それじゃ・・・あ、ベッドの中身、触らない方がいいわよ、指紋認証付けてるから私以外が触ると爆発しちゃうのよ」
「・・・あぁ、了解した」
・・・こんなに簡単に考えをうち崩されたのは久しぶりだな。
俺は諦め、料理を再度食べ始めた、今はこうするしかない、美味い。
「さてと・・・どこのどいつかしらねぇ」
そう言いながら彼女は部屋を出ていった。
・・・俺もゆっくりと立ち上がる。
おおよそ、侵入者は相方だろう・・・ドジでもしたのか
まぁ、俺も人の事は言えないが・・・まぁ、様子だけでも見に行こう。
俺はそう思い、頷いて扉をこっそりと開けた。
とりあえず、もう先に行ってしまったようだ・・・場所はわからないが、とりあえず左に向かっていってみよう。
・・・やはり、殆どの兵が出ているみたいだな、周りは至って静か――
                 ――バンッ!!
俺が進んでいた方向から突如銃声が聞こえた・・・確実に奴だな。
俺は彼女に気付かれないように、だが少し急いで向かった。
・・・少し、嫌な予感がする。

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