雨
「ごちそーさん・・・♪」
ふぅ〜、久しぶりにこんな喰ったな・・・
ヴェルはそう思いながら左手を後ろに倒し体を支え、右手でお腹を触っていた。
ホント、こんないっぱいになったのなんてガキん時ぶりだなぁ♪
「ごちそーさん・・・?」
ゼルは少し困惑して言った。
「ん、あぁ、飯を食い終わった後はこうすんだ・・・手ぇ合わせてご馳走様ってな」
ヴェルは胡座をかいて座ると、両手を合わせてそう言った。
「えっと・・・ごちそうさま」
ゼルもその姿を見て足を延ばしたまま両手を合わして、そう言った。
「いい子だ・・・よし、んじゃ皿片づけるぞ〜」
ヴェルは大皿の上に小皿を置き始め
「あ・・・僕も手伝います」
僕はコップやスプーンを手に持って
「お、ありがとな!んじゃこっち持ってきてくれー」
そう言いながらあっちの(台所)の方に向かってるヴェルさんの後を僕はついていった。
?・・・ここはどういう所なんだろう?
「よっと・・・あ、ここおいといてくれ」
そう言いながらヴェルは洗い場に皿等々を置いた。
僕も、そこに置いて聞いた。
「あの・・・ここはなんなんですか?」
「ん・・・あぁ、知らないのか、ここは台所って言ってな、飯作る場所だ」
ヴェルはさらっと言い、皿を洗い始めた。
「台所・・・わかりま」
「わかった、とかで良い、ほんと敬語が染みてんだなぁ、お前は」
ヴェルは少し苦笑いをしながら言った。
「あ、はい・・・わかった」
ゼルは心の中で(これでいいのかな・・・?)と思いながら言った。
「おう、んじゃ・・・もうこんな時間だし、俺が皿洗い終わったら風呂でも入るか?」
「風呂・・・?」
ゼルはその言葉がわからず首を傾げた。
風呂ってなんだろう・・・入るって事は・・・・・・?
そんな事を少し考えていた。
「ん・・・知らないのか、気持ちいいぞ〜、風呂は」
ヴェルはそう言いながら皿をせっせと洗っていた。
「気持ちいいですか〜・・・」
入ってみたい・・・と素直に思った。
だって気持ちいいって・・・・・・///
と、少しゼルは変な気持ちになっていた、もの凄い勘違いだが。
「おう、それまで何かしてろ〜」
「・・・すっごい泡だらけ」
そう言うヴェルの手元をゼルは横で見ると、すごい泡だらけだった。
少し端っこの方の泡に触れると、パチパチと弾けていった。
「お、泡は知ってるんだな」
「あ、はい・・・あっちの方に居たときに、恐い人になにかかけられて、擦られたらこんなのが出てきて・・・後でミルに聞いたら泡だって」
ゼルは黙々と言った。
「おい、それって洗剤じゃ・・・」
俺は少し言葉をこもらせた
「?」
「いや・・・そうだな、多分この泡と同じだな」
俺は即座に言った・・・また泣かせたらいけないからな
「やっぱり、そうですよね〜♪」
そう言うとゼルは手に着いた泡をプチプチと潰していった。
若干、笑顔で
「好きなのか?泡」
「えっあ・・・触れたところからいい匂いになっていくから・・・好きです♪」
と、ゼルは俺に顔を向けて言った。
こいつ、もしかしたら・・・
「んなら、風呂はお前大好きになりそうだな・・・泡だらけになるぞ〜」
「えっ!本当ですか!?」
泡だらけという単語を聞いた瞬間にゼルは目を光らせて言った。
・・・こいつ、風呂が好きなんだな。
「あぁ、本当だ・・・まぁ、だから座っとけ」
俺はそう言いながらベッドの所をマズルで示した。
「は〜い♪」
ゼルはすごい上機嫌でベッドに向かっていく・・・本当に泡が好きなんだな。
俺はそんなゼルを見て、少し可愛いな・・・
と思いながら、皿を洗っていった。
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