【赤い竜と青い竜】 
 
むか〜し、むかし、とある小さな島にからだがとっても赤いウロコでつつまれている赤い竜と、からだがとっても青いウロコでつつまれている青い竜がいました。 
その二匹の竜はとてもなかよしで、いっつもいっしょにいました。 
 
ごはんを食べるときもいっしょ。 
 
あそぶときも、二人でいっしょ。 
 
泣くときも、おこるときも、かなしいときもいっしょ。 
 
そして、ねるときも、いっしょでした。 
 
そんななかよしな二匹は、きょうも一緒に草でできてるベッドの上でおひるねをしていました。 
二匹ともきもちよさそうにねていました。 
 
と、そのなかから一匹、青い竜がおきました。 
むくり、とおきあがり、まわりをいつものようにみわたしました。 
 
おや、海の方になにかがみえた・・・青い竜はめをこすりながら、みにいきます。 
青い竜が海のまえにいくと、そこには小さな木と、ヒトがたおれていました。 
 
「どうしたの?」 
と青い竜はヒトに言いました・・・だけど、聞いてくれません。 
青い竜は、少しさみしくなって、赤い竜がいるところにいきました。 
 
「おきて!なにかいるよ!」 
そう言いながら青い竜は赤い竜をゆっさゆっさと、ゆさぶりました。 
そうすると、赤い竜はすぐにかおをあげ、おきました。 
 
「どうしたの・・・?」 
赤い竜は目をこすりながら・・・ねむたそうに言いました。 
 
「あっちになにかいるの!きて!」 
青い竜は少しこうふんして言いました。 
そんな青い竜をみると赤い竜はすっと立ち上がり 
 
「なにがいるの〜?」 
赤い竜が立ち上がると、青い竜は赤い竜の手をにぎり、海のほうにはしっていきました。 
 
「これは・・・だぁれ?」 
赤い竜はそう言うと青い竜にききました。 
 
「わかんない・・・おいしいのかな?」 
青い竜はくびをよこにふり、ヒトをみました。 
すると、おなかからおおきな音をたてました。 
 
「たべたらだめだよ〜、おなかいたくなっちゃうかもしれない」 
赤い竜は青い竜のおなかをおさえながら言いました。 
 
「それはいやだなぁ・・・あっ」 
そんなことを言ってるときにふと、目をやると、そのなにかがうごいていました。 
 
「う、うごいてるよ・・・どどど、どうしよう・・・」 
青い竜は少しあわてて赤い竜に言いました。 
 
「う〜ん・・・そうだ、ごはん食べさせてあげたらいいんじゃないかな?」 
赤い竜はひらめいたように青い竜にいいました。 
 
「あ、そうだね!ならつれていこう!」 
青い竜はそういうと、そのヒトを両手でもちあげて 
 
「ならぼくはごはん取ってくるよ!」 
赤い竜はごはんを探しに空にとんでいきました。 
 
「うん!」 
青い竜はそのまま、さっきまでいた草のベッドの上に・・・・・・ 
 
 
「ゼル〜、飯出来たぞ〜!」 
そう言いながらヴェルは台所からゼルに言った。 
 
「あ、はい〜」 
僕は絵本をベッドの上に置いた・・・続きはまた今度かな。 
 
「出来たら取りに来てくれ〜」 
 
「はい・・・わぁ!」 
僕はすぐに立ち上がり、ヴェルさんがいる所に行った。 
すると、今までに見たことがないくらい美味しそうな料理がお皿に乗ってあった。 
それを見たゼルは自然と笑みがこぼれていた。 
 
「美味そうだろ?・・・さ、早くあっち持っていって喰うぞ!」 
そう言うとヴェルは皿を二つ三つ持つと、テーブルに置いた。 
僕はというと、ご飯が盛られてるお茶碗を二つ手に持ち、テーブルに置いた。 
とっても美味しそうな匂いがして・・・ 
 
         ――グゥゥ・・・ 
 
「あっ・・・ごめんなさい」 
 
「ははっ、気にしねぇよ、さ、喰うぞ!」 
ヴェルはそう笑いながら言い、僕にフォークを渡した。 
そして、座った。 
 
「飯食べる前にな、ちゃんとこう言うんだぞ・・・いただきます!」 
そういうとヴェルは両手を合わせて、そう言った。 
 
「?・・・いただきます!」 
僕もまねて、手を合わせて言った。 
 
「よし、なら食べるぞ〜!」 
ヴェルはそう言うと真っ先に手羽先を手に取り、かぶりついた。 
サクッと皮が裂ける音、そして口の中に拡がる肉汁・・・んまい! 
 
「僕も・・・あむっ・・・!」 
僕もそのお肉を手に取り、ヴェルさんと同じように食べてみた・・・ 
 
「すっごい美味しい・・・!」 
僕はそのお肉にまたかぶりついた。 
あっちにいた間には、こんなに美味しい食べ物を食べたことはなかった。 
そして、ふと思った。 
 
「だろう?俺が作ったんだぞ〜!」 
・・・ってもほとんど塩かけて焼いただけだがな、とヴェルは心の中で思いながら言った。 
 
「・・・ミルにも、食べさせてあげたかったなぁ・・・・・」 
ゼルはそう言うと窓を見た。 
もう真っ暗だ・・・多分、これが夜なんだろう。 
こんな真っ暗な中、ミルはどうしてるんだろう・・・って思うと、少しだけ涙が出そうになった。 
 
「ミル・・・?友達かなにかか?」 
俺は食べながら聞いてみた、まぁ少し気になっただけだが。 
 
「あ・・・はい、僕のたった一人の友達・・・」 
そう言うとゼルは少し顔を俯けた。 
 
「そうか・・・まぁ、今は飯食え?な?こんな時に涙流すもんじゃねぇよ」 
俺は少しなだめるように言った。 
 
「・・・うん」 
そう言うと、ゼルは顔を上げ、ご飯を食べだした。 
少しだけ目が腫れてる・・・泣かしちまったか。 
俺はサラダを食べながら、そう思っていた。 


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