・・・だがしかし、もともと一人暮らしの家の風呂だから子供とはいえ一緒に入ると結構狭いな・・・ 
 
「はぁ・・・♪」 
ゼルはそんな事を後目に目を瞑り、一つ息を洩らした。 
まぁ・・・こいつが喜んでるならいい、か。 
・・・って、そんな事より、明日は鍛冶屋いかねぇと、休みだからよかったものの、本来なら打ち込みの練習しに行く予定だったしな。 
いや、それよりも明日はこいつの怪我とか見せに・・・いや、だめか、下手したらとっ掴まるかも知れない 
つっても闇医者共の所には連れて行きたくないしな、一回俺が怪我したときに行ったら知らない内に実験台にされてたし 
だけど、俺一人で治せるような傷でもない・・・ 
せめて治癒系サークルでも覚えていたらよかったが、だめだ、元々戦いとかには行かないせいで俺は錬金と打ち込みの為に力をあげるサークルしか覚えちゃいねぇ。 
今から覚えるっても、俺の頭じゃ治癒系等のサークルなんざ複雑過ぎて展開すらできねぇよなぁ・・・ 
 
どうすっか・・・ 
 
「・・・zzZ」 
ふと、考え込んでいたせいで気付かなかったが・・・ゼル、寝ちまったか。 
 
「おいおい、風呂で寝るな・・・ったく、しょうがない」 
ヴェルはゼルを揺すぶるが一切起きず、ヴェルは寝てしまったゼルの体をゆっくり抱き上げた。 
 
「ふぁっ・・・あれ・・・?」 
 
「ん、起きたか」 
俺がゼルを抱き上げ、風呂場前の部屋に来た時に、ゼルは起きた。 
 
「あ・・・ご、ごめんなさいっ」 
ゼルはそう言うと慌てて俺から逃げようとした。 
 
「うおっ、あぶねぇから暴れるな!」 
俺はすかさずゼルを軽く抱きしめた。 
まぁ・・・この状況じゃどうしようもないわな 
 
「ふぇっ?!・・・・・・はい」 
ゼルは少し驚いたような声を出し、だがすぐに大人しくなった。 
 
「よし、いい子だ、んなら体拭くぞ〜」 
俺はそう言うと上にある棚からバスタオルを取りだし、ゼルに頭から被せた。 
・・・きれいにすっぽり隠れたな。 
 
「ん?」 
ゼルは今から何をされるのかよくわからず、バスタオルを被ったまま頭を傾げた。 
そんなゼルをヴェルは頭から体を拭いていく。 
 
「・・・柔らかい♪」 
 
「これでも結構ガシガシしてる方だぞ?」 
まぁ、洗剤とか安いのを買って柔軟剤?だっけな、あんなん使ったことすらねぇ。 
 
「え?・・・う〜ん」 
ゼルはまたバスタオルの中で首を傾げる。 
 
「・・・んまぁ、ならお前にとっちゃ柔らかいのかもな」 
俺は下半身部に差し掛かっていた、一応、スリットの周りも拭いとくか・・・ 
そう思いヴェルはタオルを前の方から手を差し込み、スリットに沿わすようにして拭いた。 
 
「ひゃっ!・・・そ、そこ擦らないで・・・」 
すると少し上擦ったような声を出してゼルがヴェルに言った。 
 
「ん、どうしてだ?」 
ヴェルはなんとなく答えた・・・まぁ、答えは分かっているが。 
 
「へ、変になっちゃうんです・・・」 
・・・タオル越しでも分かるくらい照れてるな、ついでにすでに股は手で隠してるみたいだ。 
何歳かわかんねぇが、とりあえず思春期真っ直中ってのはわかったな。 
 
「そうか・・・・・・よし、おーけーだ」 
俺はそう言うと足まで拭き終わり、バスタオルを脱がす。 
 
「はい・・・!?」 
・・・そういや、俺も全裸だったな。 
 
    ――ゼルの目の前には、とても逞しそうなモノがあった。 
 
 
「・・・マジマジと見なくて良いから、先にベッドいってろ!」 
俺はそう言うと今のバスタオルで股間を隠し、マズルでゼルに指示した。 
 
「え、あ、あ、はい!」 
ゼルはそう言うと、片手で股間を隠しながら部屋を出ていった。 
 
「ふぅ・・・さて、俺も乾か・・・」 
・・・・・・あ、あいつの服どうしよう 
 
 
「おーいゼル・・・」 
 
「・・・zzZ」 
 
「って寝てるか」 
俺は一応寝間着に着替えて、出てきた。 
着せる物がないのでとりあえずで俺の服を着せようと思ったが・・・ベッドの上でぐっすり寝てやがる。 
 
「・・・んまぁ、布団掛けてやればいいだろう」 
ヴェルはそう言うと電気を消し、ベッドのゼルの横に入り、布団を掛けた。 
・・・どうしてだろうな、こうも布団って奴は即座に眠気を襲わせる。 
だが、ヴェルは少し考えていた、明日の事だ。 
 
今思えば・・・この、ゼルの服、ズボン、パンツ、というかなんにもないのだ。 
もしそれらを買ってこよう物なら俺なら一日掛かる自信がある。 
それに、明日は仕事だ、さすがに休めない。 
かといってこいつを一人で出歩かせるのも・・・そもそも服がないからダメだな。 
 
「・・・・・・はぁ」 
ヴェルは少しだけため息をついた。 
 
意外と、これから先やることがあんなぁ・・・ 
俺、本当にこいつを育てていけるのか・・・? 
・・・やべ、少しだけ後悔してきた、いかん。 
 
「・・・考えるだけ無駄だな、明日の事は明日、考えりゃいい、か」 
俺はそう言うと目を閉じた。 
睡魔に体を許した俺は5、6秒もせずに、眠りに落ちていった。 


戻る